佛教大学通信の国際政治学2024年度の最終科目試験に合格(95点)したレポートです。限られた試験時間ですので、参考にしていただき、有効活用いただければと思います。
■リアリズムの潮流に位置付けられる「覇権安定論」について、リベラリズムからの批判を含めて説明せよ。
参考文献:村田晃嗣/君塚直隆/石川卓/栗栖薫子/秋山信将 著 2023年3月『国際政治学をつかむ〔第3版〕』
1.覇権安定論が位置付けられるリアリズムの概要について
リアリズムの潮流に位置付けられる「覇権安定論」について、リベラリズムからの批判を含めて説明するにあたり、まず、リアリズムについて簡潔に説明をする。リアリズムとは、国家が国益を追求する手段となる、軍事力、経済力、人口などといった「パワー」を重視する理論である。パワーを拡大していくことで、他国との力関係を相対的に測り、大国や超大国といった概念ができ、勢力均衡の状態になるというものである。国益を追求する手段とされるパワーの構成要素は、それ自体を大きくすることが目的となり、リアリズムは自己目的化したパワーをめぐり諸国家が展開する闘争(パワー・ポリテクス)こそが国際政治の本質であると考えることができる。このようにリアリズムはパワーの分布状況を重視するという点から、「システム」の視点から考えられる理論である。リアリズムでは国家は自...