佛教大学通信の社会経済史2024年度の最終科目試験に合格(82点)したレポートです。限られた試験時間ですので、参考にしていただき、有効活用いただければと思います。
1.貫高制から石高制への変化について述べなさい
参考文献:川戸貴史著2020年6月『戦国大名の経済学』
貫高制と石高制は、当時の権力者にとって最も重要な収入源であった年貢の徴収基準を決める制度のことである。貫高制はその土地から収穫できる米をお金に換算した額で土地の収穫高を表す制度であり、石高制は土地の生産力を米の量で換算したものである。戦国時代を経て貫高制から石高制へ変化していった背景について説明をしていく。
貫高制は、検地によって確定した土地の評価額を、貫高=銭建てで帳簿に記載され、その数値を基にして年貢やその他の諸役を賦課した。貫高制を採用した北条氏は、貨幣で価値を表記する利便性や、貨幣の直接収取の効率性を重視したためである。反面、当時米穀生産を主要な産業としていた生産者たる領民は、相場変動によって収支が大きく影響を受けることになっていた。また、貫高制を導入した結果、家臣たちの所領は貫高で数値化され、これが戦時における軍役負担の基準にもなっていた。このような銭による年貢の徴収である貫高制が室町時代から戦国時代に確立されたのは、日本の最大の貿易相手国であった中国の影響もある。当...