佛教大学通信の日本思想史2024年度の合格リポート(85点)です。リポート作成の参考にしてください。
中世前期の宗教思想の特色を、浄土教・法華信仰・禅の移入・本地垂迹説等を中心に述べなさい。
1.はじめに
中世前期の宗教思想の特長は、広く一般の個人単位まで信仰が広まっていった歴史的背景から、民衆にもわかりやすい宗派が誕生したことにあり、それは国内の契機と国際的な契機の2つによって説明ができる。国内の契機では主に、古代の天皇を中心とした政治から、武家や寺院といった新たな共同体が出現したこと、またその過程で信仰する対象が共同体から個人に変化したことが挙げられる。これは、平安時代から鎌倉時代に移行する過程の中で、それまで貴族に限られていた文化や思想が庶民まで広まり、発展していった時代背景にも影響があるといえる。この点について、浄土教、法華信仰から論じていく。次に国際的な契機として、宋学(朱子学)が伝えられるなど中国からの文化や思想が入ってくるなど盛んになった日中間の貿易の影響、さらには蒙古襲来といった「日本がほとんど経験してこなかった対外戦争」①(※注1)の影響がある。この点について、禅の移入から論じていく。
2.国内の契機からみる中世前期の宗教思想の特色について
国内の契機としてまず...