記憶のメカニズムを概説したうえで、「忘れる」ことの日常的な具体例を複数挙げ、そのメカニズムを説明せよ。
①本稿は記憶のメカニズムを概説したうえで忘れることの日常的な具体例を挙げ、そのメカニズムを説明する。
記憶の過程は符号化、貯蔵、検索の3段階に分けることができる。符号化とは、入力された感覚刺激を意味に変換し、記憶表象として貯蔵するまでの一連の情報処理過程である。スマートフォンのメモ帳に買いたいものをメモする場合、文字や記号は文字コードによりコンピュータが理解できる形に変換される。人間の場合、例えば米を買うことを記憶したいならば「朝ごはん」「お弁当」「主食」「白」「ななつぼし」と結び付けて符号化する。符号化された情報は貯蔵され、必要な時に検索される。スマートフォンの場合は故障したり、データを消去したりしない限り、何度でも検索してメモを読むことができる。人間の場合は買い物終わりに家についてから買い忘れに気付くようなことがある。このように、人間の記憶はコンピュータとは違い忘却が生じる。
記憶は保持時間の違いから感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分類される。感覚記憶とは、目や耳などが受け取った情報が提示されたそのままの状態で保たれている記憶である。感覚記憶のうち一部の情報は意味に変換され、短期記憶...