重量感覚
2つの刺激を比較して、一方が他方よりも大きいか小さいかを区別する
ためには両方の刺激の間にある程度の差がなければならない。2つの刺
激が区別出来る最小の値を求める実験を行った。56gと112gの2条件
の錘を使い、標準刺激に対して「重い」「等しい」「軽い」かを被験者が
答えてそれを記録する。そのデータを用いて2つの弁別閾(2つの刺激
が区別出来る最小の値)を測定し、そして2つとものWeber比(基準
となる刺激の大きさSに対するΔSの比、すなわちΔS/Sは一定になる)
も求めた。本当なら刺激量と弁別閾が一定の比にならなければならない
のだが、結果をみると0.01の差が出て一定にはならなかった。しかし、
より近い結果が得られたと思う。
問 題
2つの刺激を比較して、一方が他方よりも大きいか小さいかを区別するためには、両方の刺激の間にある程度の差がなければならない。例えば、重さの場合で考えてみると、60gのおもりをのせた手にさらに1gのおもりをのせても重いとは感じられにくい。一方、60gのおもりをのせた手に30gのおもりをのせたら重くなったと感じられる。
このように、ある程度以上の重さの物体を加えたときに、はじめてもとの重さが変化したと感じられる。この時の刺激の変化量を弁別閾ΔS(Sはもとになる刺激量)という。つまり、2つの刺激が区別できる最小限の刺激量である。そして、50%の確率で感覚が生じることを絶対閾という。上の例で60gのおもりを手にのせ、さらに2gのおもりをのせた時ようやく重くなったと感じられるとすれば、弁別閾は2gである。同じ人が90gと93gが区別出来たなら、弁別閾は3gである。しかし、一般的にもとの重さがXgであった時の弁別閾ΔXと、Ygであった時のΔYとは同一にならない。Weberはもとになる刺激量と弁別閾に一定の比が認められることを発見した。基準となる刺激の大きさSに対するΔSの比、すなわちΔS/Sは一定になる。これをWeber比(ウェーバーの法則)と呼ぶ。
そしてフェヒナー(Fechner ,1860)は物質界と精神界の間の調和的関係を信じ、その関係の学問として精神物理学を提唱し、ウェーバーの法則の中にその例を見出して、それを発展させた。すなわち、フェヒナーは、感覚(R)を量的に扱うことができるとみなし、弁別閾(∆S)に相当する感覚の増加量(∆R)は一定であると仮定して、「感覚(R)は刺激強度(S)の対数に比例して変化する」という結論を導いた。その関係式はR=klogS(kは定数)となる。これをフェヒナーの法則という。本実験では基準となる刺激として56gと112gの2種類を用いてWeber比が一定になるか検証した。
目 的
本実験では、2条件の重さの弁別を行い弁別閾を測定する。また2条件についてWeber比を求め、刺激の物理量の変化と感覚変化の関係について検討することを目的とする。
Weber比=ΔS/S=2/60=3/90
方 法
<実験日時および実験場所> 平成18年4月20日(木)・平成18年4月27日(木)の2日間わたり、大学内心理学実験室において実験が行われた。
<実験者および被験者> 女子学生3回生、3人または4人を一組としてローテーションで被験者、実験者、記録者の役割を交代で行った。
<実験材料> 刺激(おもり)…まず軽い条件では、基準となる刺激(標準刺激)
として56gを用い、50gから62gまで2g違いの7個の刺激 を使用した。重い条件では
重量感覚
2つの刺激を比較して、一方が他方よりも大きいか小さいかを区別する
ためには両方の刺激の間にある程度の差がなければならない。2つの刺
激が区別出来る最小の値を求める実験を行った。56gと112gの2条件
の錘を使い、標準刺激に対して「重い」「等しい」「軽い」かを被験者が
答えてそれを記録する。そのデータを用いて2つの弁別閾(2つの刺激
が区別出来る最小の値)を測定し、そして2つとものWeber比(基準
となる刺激の大きさSに対するΔSの比、すなわちΔS/Sは一定になる)
も求めた。本当なら刺激量と弁別閾が一定の比にならなければならない
のだが、結果をみると0.01の差が出て一定にはならなかった。しかし、
より近い結果が得られたと思う。
問 題
2つの刺激を比較して、一方が他方よりも大きいか小さいかを区別するためには、両方の刺激の間にある程度の差がなければならない。例えば、重さの場合で考えてみると、60gのおもりをのせた手にさらに1gのおもりをのせても重いとは感じられにくい。一方、60gのおもりをのせた手に30gのおもりをのせたら重くなったと感じられる。...