素点82点
判定合格
序論:ニーチェの代表作『ツァラトゥストラ』について、「神は死んだ」とはどういうことなのか、
「超人」の誕生とは何であるのかという疑問を、全体の物語性を通じて、本作品の中で問われている問いについての見解を以下のように述べたい。本論:本作は主人公ツァラトゥストラが山隠棲(世俗を離れ山で暮らす)を経て人間社会に語りかけている。中心的な問いの一つに「神は死んだ」という言葉で表されるニヒリズム的状況下での価値問題がある。超人思想こそがこの虚無な価値観に立ち向かう人間の可能性を拓くものと考えた。失望したツァラトゥストラは時には山に戻ったり時には下ったりと、「神の死」という事実を布教するために様々な努力をするのだが、それも一般の人々からは理解されなかった。「神は死んだ」という格言は、これまでの最高価値や真理への信仰が揺らぎ、価値の源泉を失った結果アノミー(社会的規範)が失われ、社会が乱れて無統制になったニヒリズムの状態が訪れた。特に、真・善・美というプラトン以来の絶対的価値の崩壊は、人間存在を根底から揺るがす出来事であったと言えるだろう。このどん底的な深淵を前に、新たな価値を...