1. 民法上の原則
期間の定めのある雇用契約すなわち有期労働契約について、民法上の原則によると、雇用契約の期間が終了すれば、契約の効力は当然に終了することになり、労働者も使用者もこの終了について格別の理由を必要とはしない
ただし、労働者が所定の契約期間を経過しても労働を継続し、使用者がこれを知りつつ、格別に意義を述べないときには、契約が同一の条件をもって黙示の更新が行われたモノと推定される(民法629条1項前段)。黙示の更新を回避するためには、その旨の意思表示をしなければならい。
民法の契約論理によると、有期労働契約の更新は、当事者の自由に委ねられる。しかし、期間が3ヶ月程度の短期労働契約で雇用された臨時工が、長期間にわたって契約を反復公信されて事実上常用化されているような場合には、この雇い止め自由の原則は雇用の実態と乖離しているため、修正が要請される。
これについて、判例において雇い止めを制限する法理が醸成されてきた。これを受けて、2012年の労働契約法の改正により、雇い止めに関する法令が制定された(労働契約法19条)
2. 判例の流れ
当初の雇い止め自由の原則を修正する理...