佛教大学通信教育課程 2023年度 日本国憲法 科目最終試験解答です。85点でした。
※厳罰となるため、くれぐれも転写はお控えください。
●参考文献
「憲法入門」 伊藤 正己 著 有斐閣双書 (2006)
「憲法判例50!」上田 健介、尾形 健、片桐 直人(著) 有斐閣 (2016)
【設題】
1.Xは、イスラーム教徒であり、ムスリムのスカーフ(ヒジャブ)を日常的に着用していた。Xは、かねてよりY県の公立中学校で教師となることを志望しており、教育委員会による選考手続きにも合格したためY県公立学校教員採用候補者名簿に登載された。公立学校教員採用候補者名簿に登載された者は、学校または市町村教育委員会での面接などを経て採用が決定されることになる。Xは、この面接において、「採用後にイスラームの布教ととられるような行動をするつもりはないが、スカーフだけは授業中であっても着用したい」との希望を述べたところ、教育委員会側は、憲法上問題があるとして難色を示した。
①県教育委員会が配慮した憲法上の問題とはどのような議論か、
②面接中の発言を理由として、もしXが公立学校教員採用候補者名簿から削除され、教員として採用される可能性が無くなった場合、どのような憲法上の権利の侵害として主張することができるか、
の二点について言及したうえで、本設題の問題について論じなさい。
【解答】
県教育委員会は憲法20条の規定に配慮したと考えられる。これは信教と政教分離原則を定めた規定であり、宗教戦争の...