総需要
マクロ経済学において、総需要(英: Aggregate demand, AD)もしくは国内最終需要(英:
Domestic final demand,
DFD)はある与えられた時点におけるある経済における最終生産物に対する全体の需要である。こ
れは一国の国内総生産(GDP)に対する需要であるとも言える。一国の総需要はしばしば有効需要
とも呼ばれるが、有効需要と総需要という用語自体は区別して使用されることが多い。
総需要曲線は、物価水準を縦軸に、実質生産量(Real
output、実質GDP)を横軸に取った図において、右下がりの曲線として表される。総需要曲線が右
下がりの曲線なのは実質残高効果、ケインズの利子率効果、マンデル・フレミングの為替効果の3
つの効果によるものである。実質残高効果は物価水準が上昇することで資産の実質価値が低下し、
これによって消費支出が減少することで財・サービスに対する需要が減少するというものである。
ケインズの利子率効果は、物価水準が上昇することで実質マネーサプライが減少し、マネーサプラ
イの減少を補うため債券が債券市場で売られることで債券価格は下落、利子率が高くなることで、
投資が減少し、財・サービスに対する需要が減少するというものである。
総需要曲線は生産量の数量に対する需要と一般物価水準の二つの要素の関係を表している。総需要
は固定された水準の名目マネーサプライのもとに表される。総需要曲線をシフトさせる要因には様
々なものが考えられる(参照:需要ショック)。マネーサプライの上昇や政府支出の上昇、独立投
資の上昇、消費支出の上昇、減税政策が総需要曲線の右側シフトの原因として挙げられる。
AD–ASモデルによれば、総需要が増加したとき、総需要曲線は右側にシフトし、総供給曲線との新
たな均衡物価水準は以前より高いものとなる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』