中央大学通信2018年刑法各論第2課題 [評価B]

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    1.問題の所在

     235条窃盗罪は被害者の意思によらない占有移転を伴う、財産罪の一つである。他人の物を占有、つまり物に対する事実上の支配を行うことにより、持ち主の持つ自由に使用、処分する権利を侵害する。「他人の財物を窃取した者」が構成要件である。判例・通説は、窃盗罪をはじめとする奪取罪に対し、構成要件的故意とは別に、条文にはないが、権利者を排除する意思と、他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従って利用又は処分する意思の両者を合わせた、不法領得の意思を必要としている(最判昭和26.7.13、大判大正4.5.21他)。

     事例の財物の一時的な無断使用、借用後に返還する意思で短時間持ち去る行為を使用窃盗と呼ぶが、刑法に直接該当する条文はない。よって不可罰となるか、あるいはXに権利者排除意思を認め不法領得の意思ありとして窃盗罪が成立するかが問題となる。

    2.判例・学説

    a. 占有とは「人が物を実力的に支配する関係であって、(中略)必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく」(最判昭和32.11.8)また、公道上の自転車であっても、その場所が日常的に駐輪に使われてい...

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