1、目的
マイクロ波の測定、導波管回路、定在波などについて学ぶ。
2、原理
2,1 マイクロ波の発生
ガン発振器の発振素子であるガンダイオードは1963年にアメリカIBM社のJ.B.Gunnによって開発された半導体素子で、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジリウムリン)、CdTe(テルル化カドミウム)などの単結晶を3 以上の直流高電界中に置くと、ある点で負性抵抗を持つことを利用して、マイクロ波を発生させるもので、このような発振をガン効果またはガン発振という。ガンダイオード本来の発振周波数はダイオードの動作層の厚みでほぼ決まるが、共振回路の中にダイオードを組み込むと、その共振器の共振周波数を変えることによって、発振周波数を制御することが可能になる。空胴共振器に組み込んだ形式のガン発振器を図1に示す。これは可変短絡版を移動させて発振周波数を変え、スタブの調整によって負荷との整合をとり、最大出力を得るようにしたものである。実験に用いるものは短絡板が固定されていて、導波管中に入れる誘電体棒の長さを変えることによって、アドミタンスを変化させて発振周波数を調整し、整合を取る形式のもので、発振周波数9.3 ~9.5 、出力約13 である。ガン発振器の出力には基本発振周波数のn倍高調波成分が含まれているので、これを除去するため導波管形の低域フィルタをガン発振器に接続して用いる。
2,2 マイクロ波の伝送
マイクロ波を伝送するのに、低周波の場合のように平行二線を用いると、表皮効果によって電流が電線の表面に集めるため、表皮抵抗が増して損失が多くなり、かつ途中で電磁エネルギーを空間に放射するため放射損を生じ、伝送線路として役立たなくなってしまう。一般に3 以下では同軸線路、それ以上の周波数のマイクロ波では導波管が用いられる。導波管は中空の金属管で、その断面が長方形の方形導波管と円形の円形導波管などがあるが、実験では方形導波管を用いる。以下に実験で用いる種導波管についいて概説する。
2,2,1 アイソレータ
アイソレータは単向管と呼ばれ、一方向に進行するマイクロ波に対しては大きな減衰を与え、逆方向に対してはほとんど減衰を与えないという回路である。一様に磁化させたフェライトを導波管内に挿入しておくと、この導波管内を電磁波が伝播するときに非可逆特性が得られる。実験に用いるのは共鳴吸収型で、順方向損失0.9 以下、逆方向損失30 以上の特性を持っている。
2,2,2 可変抵抗減衰器
導波管の電界面に平行に抵抗体を入れて、それを導波管の横方向に移動して、電界を吸収させて減衰を変化させるようにしたものを可変抵抗減衰器という。減衰量を直接読み取れる精密型から、レベル調整用の簡易型まで様々なタイプがある。
2,2,3 無反射終端器
導波管の横断面中央に電界面に平行に、テーパをつけた抵抗板を取り付けて、十分に整合を取った抵抗減衰器を無反射終端器という。入射波は抵抗板にそって減衰しながら導波管の終端の短絡板に達し、わずかの反射波を生ずるが、この反射波は再び抵抗板によって減衰を受けて戻ってくるので、結果的にはほとんど反射波は消滅してしまう、すなわち整合が取れた状態が得られる。
2,2,4 空胴周波数計
マイクロ波の周波数測定には、測定周波数に同調する空胴共振器の伝送性、あるいは吸収性を利用する空胴周波数計が使われる。周波数は共振器の形状と寸法から決まるので、共振器の軸長を可変にしておけば、空胴の共振時の軸長から周波数を測定できる。空胴の共振時にマイクロ波が伝送する伝送型と
1、目的
マイクロ波の測定、導波管回路、定在波などについて学ぶ。
2、原理
2,1 マイクロ波の発生
ガン発振器の発振素子であるガンダイオードは1963年にアメリカIBM社のJ.B.Gunnによって開発された半導体素子で、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジリウムリン)、CdTe(テルル化カドミウム)などの単結晶を3 以上の直流高電界中に置くと、ある点で負性抵抗を持つことを利用して、マイクロ波を発生させるもので、このような発振をガン効果またはガン発振という。ガンダイオード本来の発振周波数はダイオードの動作層の厚みでほぼ決まるが、共振回路の中にダイオードを組み込むと、その共振器の共振周波数を変えることによって、発振周波数を制御することが可能になる。空胴共振器に組み込んだ形式のガン発振器を図1に示す。これは可変短絡版を移動させて発振周波数を変え、スタブの調整によって負荷との整合をとり、最大出力を得るようにしたものである。実験に用いるものは短絡板が固定されていて、導波管中に入れる誘電体棒の長さを変えることによって、アドミタンスを変化させて発振周波数を調整し、整合を取る形式のもので、発...