佛教大学 M5507 書論のリポートです。A評価をいただきました.参考にしていただければうれしいです。
孫過庭の『書譜』の中で「書作は本来どのようにあるべき」と語っているかを詳述しなさい。
唐の太宗は、書の愛好家として有名であり、自身も書を善くし、王羲之を高く評価してその書作を求めてやまず、以後の王羲之の評価を決定づけるものとなった。孫過庭の『書譜』は草書の手本として多くの書道を学ぶ人々によって臨書されている有名な草書作品であると同時に、唐代を代表する書論である。太宗の王羲之への評価を受け継ぎ、鍾繇・張芝・王羲之・王献之らの四賢の優劣論、六朝以降の書論についての批評、体験からくる技法論等が多岐にわたって述べられており、理論と実作の双方の視点を持つ総合的な内容となっている。本リポートでは孫過庭の実作者としての経験を踏まえた論をまとめ、「書作とは本来どのようにあるべき」と語っているか詳述していく。
孫過庭は『書譜』のなかで、第一篇では先述の四賢の優劣論、「古法を守って、時代感覚を失わず、現代風であっても、その悪い面には染まらぬようにすることが大切である」と君子たるべき道についても述べている。また王羲之・王献之の優劣論にも言及している。
第二篇では、孫過庭の体験として書を学ぶ過程について述べ...