テキストのポイントをよく押さえており、リポートにもその点がきちんと反映され、読みやすくまとめられたリポートになっている、との評価をいただきました。
第一課題 解答
緒言
本課題は、下記の3点について、説明するものである。
1 文学作品に様々な形で現れる「身体」の働き
2 文学作品を読み解く際の「コード」の働き
3 文学作品を読み解く際の「コンテクスト」の働き
本課題は、『文学テクスト入門』前田 愛(筑摩書房)を参考にまとめたものである。
1.身体の働き
「言葉」と「身体」とは基本的に密接に関わっている。例えば身ぶりとしての言語につ
いて言うと、身体的な表現のない言葉は伝達力に欠ける。一方、文章上の表現において、
その登場人物の姿や動きについて的確に表されていれば、その状況や環境など様々な情報
が読む者に直接的・間接的に伝わり、その内容も様々なイメージとして膨らんで行きやす
いといえる。例えば伊勢物語の第四段、「立ちて見、ゐて見、見れど、去年に似るべくもあ
らず。」と、慌ただしいリズム感と業平のもどかしさについての身体表現が行われ、その後、
「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身は一つもとの身にして」と、劇的な孤独感が身体の
動きの表現によって私たちに迫ってくる。この文章は登場人物の身体的な表現、身体性と
いうものが文中...