(2020年度)慶應経済通信教育課程で、合格をいただいた経済政策学のレポートです。
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物の売買や交換を通じ、日々膨大な量が取引されている貨幣市場。国内においては、資本主義経済の発達に加え、日本銀行の創立により、19世紀後半に本格的な始まりを迎えたとされる。以降、政府や日本銀行の介入があり、大きな破綻は見られていない。
なぜ、貨幣市場の均衡が保たれているのか。それを理解するために、設問に答え、中央銀行の介入による貨幣供給量の増加がもたらす国内総生産の変化を検証したい。第一節で、設問で何が問われているかを説明する問いの定義、第二節で問題(1)に対する回答、第三節で問題(2)に対する回答、第四節で設問に対する言及について述べる。
第一節 問いの定義
藤田(2009年)によると、貨幣市場を均衡させる国内総生産(GDP)Yと金利rの組み合わせを示すLM曲線が水平になる時とは、貨幣需要の利子弾力性が無限大である状況を指す。
貨幣需要の利子弾力性が無限大の時は、利子率(金利)のわずかな低下に対して貨幣需要が大きく増加する。このため、公開市場操作や必要準備率の変更といった金融政策によって貨幣供給を増やしても、金利が低下せず、不変の状況を招く。この状態は、金融政策が無効の状態...