評価:よくまとまった内容であり、的確に大森の議論が把握されている。
「心身問題、その一答案」を「音がする」「心の中」の議論を用いながら、まとめよ。できる限り、大森の論旨を忠実に再現してみること。その上で、十分な長さで、自分の考え、意見を、できるだけ具体的な例を挙げながら、述べよ。
第一問として全般的な問題は、いわゆる心的現象と物理的世界の関係如何、というものである。それに対する答案として三つの種類が挙げられる。
一、全曲的問題-物的世界と心的現象の「重ね描き」の一元論的構図。
この一元論的構図にあっては、客観的世界と主観的意識との分別と対立や「精神と物質」の区分と対立が消滅する。したがって物心関係の問題もまたそのままの形では消滅する。それらの問題が問題としての表現されるための枠組である、物理的客観的世界と主観的意識世界という二元論的構図が棄てられたからである。
「二元論的構図」とは哲学的見解である以前に日常の常識でもある。この二元論を示唆する主な日常的経験として主にあげられる経験として十人十色、幻覚、各種の心的現象がある。
第一の十人十色の経験は、同一対象-各人各様の印象、という対比が生じ、「同一対象」が主観的世界に、各人のその時々の「印象」が主観的意識に配されて二元論的構図に導かれる。
第二に心的現象と物的世界の中間にある「知的世界」では「幻覚」と呼ばれる現象がある。「幻覚」とは幽霊のような非の打ち所のない幻だけなのではなく、見間違い、思い違い、誤報など...