この課題では、1単位目に原民喜の『夏の花』、2単位目では、教科担当教授が研究している作者である、林芙美子の『水仙』を選択し、合格をもらったレポートです。
一見、課題は簡単そうに見えますが、小説の解説部分のコピペ、インターネットの内容の引用には厳しいチェックが入ります。また、分厚い戦後文学の小説の中から、作品を選び、読み込み、論文と照らし合わせていかなければならないので、時間がかかることで有名です。参考資料や文献も多くそろえているので、良かったら参考にしていただければ幸いです。
明星(通信)☆日本文学概論1・2単位目セット☆2021合格レポート
1単位目
印象に残った作品を1つ取り上げて考察しなさい。
(『日本近代短篇小説選 昭和篇2(岩波文庫)』より)
講評
被爆者が減少している近年、原子爆弾による惨状については文学作品からのみ、その知識を得る時代になりつつあります。そのような中で、原民喜「夏の花」は戦後直後に書かれた貴重な記録文学です。彷徨い歩く広島の街の地名を詳細に記すなど、作家の目は未曾有の大惨事を克明に記録するという使命感に突き動かされ、残酷な現実を捉えていきます。作品中のカタカナで表記されている箇所は、どのような効果をこの作品全体にもたらしているのか注目すべき観点の一つといえるでしょう。
1 1947年に出版された「夏の花」を選択した。この作品は、作者が、まるで、感情情を抑制したかのような口調で自身鋭い観察眼を持ちながら、被爆体験や原爆の残酷さを語る内容に魅了されたからである。
作者の原民喜は、1905年に広島県に生まれ、中学に入ってから、19世紀ロシア文学や時作に親しんだ。大学時代は慶応大学の文学部に在学し、詩や小説、俳句の制作に励んだ...