題:日清オイリオグループ㈱の製油関連事業の業績についての分析
近年に見られる健康ブームのより、医療や健康、生活習慣病等の予防に対して、消費者の健康志向はますます高まっている。その中でも、特に注目を集めているのが特定保健用食品である。食料品業界において、高付加価値商品である特定保健用食品のような健康関連分野への参入は、企業にとってもビジネスチャンスの拡大に繋がると考えられており、非常に活発化してきている。今回は、その特定保健用食品である「体に脂肪が付きにくい」健康油をはじめとし、食生活には欠かせない各種食品油メーカー2強の一つである、日清オイリオグループ(以下、日清オイリオ)に焦点を当ててみる。
1、日清オイリオの業績について まず、日清オイリオの最近5ヵ年の業績について簡単に示すことにする。 表1 01年度から05年度3月期連結業績
2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 増減率(%) 売上高(百万円) 139,553 200,907 212,819 220,204 215,479 ▲2.1 営業利益(百万円) 2,670 -3,974 458 4,376 6,386 45.9 経常利益(百万円) 2,989 -2,617 1,910 6,155 9,004 46.3 当期利益(百万円) 1,026 -1,423 2,373 3,202 7,137 122.9 (日清オイリオのHPより資料を引用し、表を作成。※1)
表2 02年から06年の製油関連事業業績
2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 売上高(百万円) 118,756 177,047 188,419 194,907 190,809 営業利益(百万円) 1,926 -3,612 -64 3,376 5,803 (日清オイリオ3月期決算説明会各資料より数値を引用し、表を作成。※2)
表からも分かるように、売上高・営業利益・経常利益・当期利益の4項目全てにおいて、近年好調に推移している。2002年度は営業利益・経常利益・当期利益において減益となっている。この原因としては、①当社初の特定機能用食品「ヘルシーリセッタ」新発売に伴う広告宣伝費への投入、②リノール油脂株式会社及びニッコー製油株式会社との経営統合による一時費用の発生、③海外事業の大連日清製油有限公司での為替評価損の計上などが挙げられる。しかし、一転して2003年度以降は、日清オイリオ全体の業績・製油関連事業業績共に、年々大幅に利益増収に成功している。これは、日清オイリオが2004年度より3ヵ年にわたる中長期的な経営戦略として「日清オイリオグループ3ヵ年経営計画 AHEAD」を策定し、その効果の表れであると考えられる。
2、製油関連事業業界の構造分析 前述のように、国内の製油メーカーは日清オイリオとJ-オイルミルズの2社で製油業界の大半が占められる。では、2社で大きくシェアが構成される製油関連業界とは一体どのような構造を持っているのだろうか、いくつかの資料を用いて検証してみる。日清オイリオの近年の業績を見れば、代替品や競合の脅威もそこまで多くなく、製油業界は厳しい業界ではないように見えるかもしれないが、次のような側面も持っている。 【原料価格の上昇が顕著な油脂業界】 油脂の主原料である大豆や菜種は輸入に依存している。ここ数年の間に中国が消費拡大に伴い輸出国から輸入国へと変換したことに加え、主産地の米国が不作であったことから、2003年後半以降、大豆の国際価格は高騰し、これにつれて
題:日清オイリオグループ㈱の製油関連事業の業績についての分析
近年に見られる健康ブームのより、医療や健康、生活習慣病等の予防に対して、消費者の健康志向はますます高まっている。その中でも、特に注目を集めているのが特定保健用食品である。食料品業界において、高付加価値商品である特定保健用食品のような健康関連分野への参入は、企業にとってもビジネスチャンスの拡大に繋がると考えられており、非常に活発化してきている。今回は、その特定保健用食品である「体に脂肪が付きにくい」健康油をはじめとし、食生活には欠かせない各種食品油メーカー2強の一つである、日清オイリオグループ(以下、日清オイリオ)に焦点を当ててみる。
1、日清オイリオの業績について まず、日清オイリオの最近5ヵ年の業績について簡単に示すことにする。 表1 01年度から05年度3月期連結業績
2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 増減率(%) 売上高(百万円) 139,553 200,907 212,819 220,204 215,479 ▲2.1 営業利益(百万円) 2,670 -3,974 458 4,3...