本レポートでは、アルノー、ニコル共著『論理学、別名思考の技法』を読み解いてい
く。彼らは言葉と観念との関係性はどのように成り立っているとしたのだろうか。また
その関係性から生じる曖昧さと、その解決の仕方についても着目し、掘り下げていく。
言語記号、すなわち言葉の本性は、表現するものの観念によって表現されるものの観
念を喚起することである。たとえば、"三角形"という文字や音声が前者で、"三本の直
線に囲まれた図形"という認識が後者である。記号は大別すると三つの方法で区別する
ことができる。第一の区別の仕方は、確実な記号と蓋然的な記号とを分ける方法である。
第二の区別の仕方は、事物と直接関係する記号と、そうでない記号とを分ける方法であ
る。第三の区別の仕方は、自然的記号と人為的記号とを分ける方法である。自然的記号
は人間の想像力によって左右されないが、それに対して、人為的記号は規則と制定をも
とに人間によって作られたものである。言葉は思考の人為的記号であり、また、文字は
言葉の人為的記号である。
さて、この先にも多く登場する観念という言葉だが、アルノーは観念について「明晰
で単純なもの...