英語文学研究2 最終試験レポート
【設題内容】『グレート・ギャッツビー』を、語り手から読んで、その面白さを述べなさい。
英語文学研究2 最終試験レポート
『グレート・ギャツビー』を、語り手から読んで、その面白さを述べなさい。
この作品は冒頭から結末まで物語の主人公であり、登場人物の1人であるニックによって語られている。ニックはギャツビーの隣人であり、デイジーの遠い親戚でもあるが故に、2人の恋の再燃を取り巻く様々な人物の行動や感情を観察し、自身の視点から描写している。フィッツジェラルドの名作『グレート・ギャッツビー』の作品の面白さは、このニックが語りの中に自身の偏見や主観を盛り込んでいる為に醸し出される作品的情緒や、物語の矛盾点や謎に隠されたニックの人格的要素にあるといえる。このレポートではそのような作品の面白さを【ニックはどのような語り手なのか】と【語り手ニックとギャッツビーの関係性】の2つの項目から考えたい。
【ニックはどのような語り手なのか】
ニックは作品の中で自分のことを「世間には正直な人間はほとんど見当たらないが、僕はその数少ないうちの1人だ。」(pp.113)と語っている。しかし実際のニックの語りには物語の中の事実とは相反する矛盾点や語られていない謎がいくつかあり、それらがニックを実際...