2020年度の民法総則課題4です。
A評価
無権代理とは、代理人として代理行為をした者が、その代理行為について代理権限を有していない場合のことをいう。無権代理人がした契約は、本人の追認がなければ、本人に対してその効力を生じない(民法第113条第1項)。(以下、記載のない条項は全て民法とする。)この契約になんら意思表示をしていない無関係な本人に法律効果を帰属させることはできないからである。しかし、無権代理人と本人の地位が同一人に帰した場合には、本人も無関係とはいえず、法律効果を帰属させることが適当な場合がある。無権代理人と本人の地位が同一人に帰した場合とは、相続が生じた場合が考えられるが、相続の態様により考え方が異なることから以下に検討する。
1.無権代理人が本人を相続する場合
①単独相続の場合
相続人(無権代理人)は本人の財産に属した一切の権利義務を承継する(第896条)ことから、本人にあった追認拒絶権(第113条第2項)も承継できるかが問題となる。しかし、追認拒絶権は認めず、本人が自ら法律行為をした場合と同様の法律上の地位を生じるとすることが適当であると考える。その理由について以下に記述する。
第一に、追認拒絶権は、本人の...