2019~2022年の課題です。S評価をいただきました。
違憲審査権とは、憲法適合性審査に関する権限であり、日本国憲法第81条に「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定されるが、その内容に関して議論が分かれるため以下検討することとする。
違憲審査権の法的性格につき、判例はいわゆる警察予備隊違憲訴訟において具体的事件争訟性を要する「付随的違憲審査制」であることを宣明している。しかし、近時の判例においては、救済の観点から法律上の争訟の要件を柔軟に解釈したとみなされる判決(最大判平成17・9・14)も出されている。そうであるならば、付随的違憲審査制を教条主義的に捉える必要性も減衰していると考えられ、法律で認められた裁判権(裁3条1項にいう「その他法律において特に定める権限」)に付随して、客観訴訟としての違憲審査は認められ得るものと考えられる。
裁判所の違憲審査の対象となるのは、「一切の法律、命令、規則又は処分」(憲法81条)である。ここでいう「法律」とは、形式的意味の法律であり、国会の議決によって制定されたすべての法形式をいい、「命令」とは、憲法がみずから特別の法形式(...