2019~2022年度の課題です。S評価をいただきました。
日本国憲法は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(二十五条一項)と規定し、当該規定は生存権に関するものと解されている。そこで、その法的性格につき「朝日訴訟」、「堀木訴訟」及び学説を元に検討する。以下、判例における原告をX、被告をYとする。
「朝日訴訟」では、Xは肺結核患者として療養所に入所し、月六百円の日用品費の生活扶助と給食付医療扶助とを受けていた。しかし実兄より毎月千五百円の送金を受けるようになったため、市は生活扶助を打ちきり、上記金額から日用品費を控除した残額九百円を医療費の一部としてXに負担させるよう保護変更決定をした。これを受け、XはYに不服申し立てを行ったが、これが是認されるに至ったため、東京地裁にYが下した不服申立却下裁決の取消しを求める裁決取消請求訴訟を提起した。
第一審ではYによる保護基準の設定は羈束裁量行為であるとし、Xの主張を認容した。また、本件保護変更決定は違法であるとして、Yの不服申立却下裁決を取り消した。
第二審では、Yによる保護基準の設定は羈束裁量行為ではあるが、月六百円の基準金額は低額ではあるが違法と断ずるには足りないとして、...