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哲学概論 1単位目
身体的存在者である人間は口を用いて声を発し、かつ発音の仕方に基づく音節を組み合わせ単語や文をつくり出し、言語的意味を表現する。さらに音節やその組み合わせに対応する文字を用いることで書き言葉としても表現できる。そのような表現手段の総体が言葉である。また、言葉とそれが指す現実世界との結びつきは、社会習慣に基づく言語的意味と、言葉自体の持つ表情的意味によってなされている。以上の言葉の定義に基づき本稿では、ソシュールの「言葉の本質は差異である」という思想について、言語の特性を挙げながら説明していく。
フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)は『一般言語学講義』(1916)の中で、言葉における音と意味との結びつきについて、「言語の体系は、一定の秩序を持った音の総体が、一定の秩序を持った観念の総体に結合されたものである。」と述べている。語の音と意味とはそれぞれ差異の体系をなしており、その体系同士が結び付けられることによって個々の語ができている。言語における差異の体系とは、それ以外のあらゆる事物のそれとは性質を異にする。事物の区別においては通常、事物の存在がそれら...