タンパク質の反乱 石浦章一 ブルーバックス
この本では「タンパク質はなぜ分解するのか」(「プロテオリシス」)をキーワードに話が進められていました。この本を読むまで私は、タンパク質が古くなったら分解してなくなるだけだと思っていました。
これは仮定ですが、理由いくつかはありました。
1つ目は、従来から環境への適用だと説明されてきました。それはすなわち、発熱などの急激な環境変化に適応するためには、新しいタンパク質の合成が必要であり、そのためには生体内にアミノ酸のプール(貯蔵庫)が用意されていなければならず、タンパク質の分解がその供給源となる、という仮設です。
これに加えて、発生に応じて不要なタンパク質が除去されていくプログラムも必要です。例えば、手の指ができるときには、はじめカエルの水かきのような手から、指と指の間の部分のタンパク質が分解され、指が作り出されていく。そのためには、特別なタンパク質分解系が存在する必要があります。
また、細胞は、不要なタンパク質や不適切に折り畳まれたタンパク質を細胞内から除去しなければなりません。このためにも、タンパク質の分解は不可欠です。
これに加えてタンパク...