日本型経営という概念は,広義には企業システム(企業間関係−企業集団、系列下請け)を含めてさらに経営理念等も含めて理解されているが、狭義には「終身雇用制」、「年功序列制」、「企業内組織」として特徴づけられる。
ここでは日本型経営と呼ばれている狭義の意味の「終身雇用制」、「年功序列制」、「企業内組合」ということをみることにしよう。この三つはいずれも、公式に規定されたものではなくて日本企業が、きわめて文化的、歴史的所産である経営慣行として、使用してきたのである。特に、日本の場合、外部労働市場を通じて人を採用するのは、学校を出た時一度きりで、中途採用をすることはきわめて希である。したがって、人々はいったんある企業へ「入社」すると、ずっとその企業内に留まり、定年を迎えるのである。その間の数十年は、基本的には年功をベースに昇進、昇給していくのである。
日本人の間には‘集団への所属欲求’や集団への定着志向が認められる。そして、これらの心理特性を基盤として、日本の経営には組織内諸関係の安全性を志向する傾向が顕著にみられ、これが日本的経営の編成原理となっている。この原理にもとづいて、歴史上終身雇用制度が次第に形成された。終身雇用制度の制度上諸特徴は、環境の諸要求や組織内部の要求にこたえて、わずかずつではあるが次第に変化しながら、この終身雇用制度という制度的条件の存在が、逆に日本人の集団定着傾向を強化していると思われる。
終身雇用
人は、企業にとってモノ、カネと並ぶ構成要素である。しかしそれは単なる労働力を提供するだけの資源ではない。結局のところ、資本(カネ)や設備を活用させるのも、また活用するのもひとえにそれらを扱う人間いかんである。したがって、企業内部にいる人々の能力と忠誠心を、最大限に引き出すことができる経営が、秀れた経営だと言えよう。
経営学原理特講
日本型経営の特徴について
はじめに
日本型経営という概念は,広義には企業システム(企業間関係-企業集団、系列下請け)を含めてさらに経営理念等も含めて理解されているが、狭義には「終身雇用制」、「年功序列制」、「企業内組織」として特徴づけられる。
ここでは日本型経営と呼ばれている狭義の意味の「終身雇用制」、「年功序列制」、「企業内組合」ということをみることにしよう。この三つはいずれも、公式に規定されたものではなくて日本企業が、きわめて文化的、歴史的所産である経営慣行として、使用してきたのである。特に、日本の場合、外部労働市場を通じて人を採用するのは、学校を出た時一度きりで、中途採用をすることはきわめて希である。したがって、人々はいったんある企業へ「入社」すると、ずっとその企業内に留まり、定年を迎えるのである。その間の数十年は、基本的には年功をベースに昇進、昇給していくのである。
日本人の間には‘集団への所属欲求’や集団への定着志向が認められる。そして、これらの心...