美術館レポートを書くに当たって、六本木の森美術館で開催されていた「ル・コルビュジェ展」に足を運びました。六本木ヒルズという日本で最も有名な建物の一つであるその外観や内装に興味があり、以前から見に行く機会を伺っていた建物であったことと、BRUTASやhhstyle、TASCHENの1000CHAIRSなどからミッドセンチュリー家具の存在と、その文明的普遍性すら感じさせるデザインを知り、家具デザイナーとしてのル・コルビュジェに多大な関心があったというのがその理由です。
ル・コルビュジェ展のコンセプトははっきりと言葉として明言されてはいませんでしたが、もし僕がつけるならば「作品を通じてル・コルビュジェを知る」です。
展示されていた作品群は、20代から発表されていた絵画や、建築の元となったような彫刻作品から、計数十にも及ぶサンピエール寺院などの代表的な建築物の模型とその設計図、彼が提唱した集合住宅と最後に住んだといわれる小屋の原寸大模型、グラン・コンフォートをはじめとした代表的な家具、アトリエの復元と彼が実際に使っていた道具や家具、彼が編集長として発行していた雑誌など、カテゴリーとしても多岐に...