がん患者の不安に対する援助について、成人看護学実習後のケーススタディです。
癌患者の不安に対する援助
―継続治療に前向きになるアプローチについて―
Ⅰ.はじめに
近年、我が国では食生活の欧米化(高脂肪、高蛋白、低繊維食)に伴い、大腸がんの患者が増加している。平成21年厚生労働省の人口動態統計によると、部位別にみた死因順位では男性は3位、女性では1位であり、今後も増加の一途をたどると予想されている。
今回、60代前半、女性の直腸がんの患者さんを受け持った。この女性は直腸がんになるまでは職場で正社員として働いており、家庭では家事をこなし社会的役割を持っていた。そして突然直腸がんになり仕事を休職するなど社会的役割が変化し、現在は術後化学療法を行っている状態である。ストーマは一時的であるが、ストーマに対して十分に受容はできておらず、ストーマをつけたままの社会復帰にも不安がみられていた。また、Aさんは化学療法の副作用や直腸がん再発のおそれ、術後体力の低下など様々な不安を訴えていた。
Aさんと長期に関わることができたら、もっと不安に対する援助もできたのだろうかと思い、自分が行った援助がAさんにとって正しかったのかどうか客観的に振り返りたいと思った。そして、今後癌患...