①「公共の利益に反して」要件について2000字、②「ハードコアカルテル」と「非ハードコアカルテル」について2000字、論じています。
【第1課題】 独禁法 2 条 5 項及び同条 6 項において規定される「公共の利益に反して」
という要件に関して、先例や学説等これまでの独禁法の考え方を整理して(時系列や対立
点を軸として)記述しなさい。その際に、「公共の利益」に反しない場合が考えられるのか
についても可能な限り触れること。
独禁法 2 条 5 項及び同条 6 項の「公共の利益」の解釈については、長らく宣言的規定説
が通説であったが、違法性阻却事由説、正当化事由説も有力になってきている。
宣言的規定説は、1953年の独禁法改正に関する公正取引委員会昭和29年解説にお
いて、「公共の利益に反して」の文言について、「法文に規定されたような方法によって競
争を実質的に制限することは、公共の利益に反するが故に、これを制限するものであるこ
とを明らかにして憲法上の原則との調整を図ると共に、独禁法の運用は常に公共の利益の
観点に立ってなさるべきであり、私人間の紛争の解決又は個人の権利義務の確定如きこと
は、独禁法の直接の目的ではないとの趣旨を訓示的に宣言しているものと解して差し支え
ない」1と表明したことに...