本レポートでは、脳性麻痺の定義と病型分類および教育的対応について述べます。参考文献 安藤隆男・藤田継道 編(2015)「よくわかる肢体不自由教育 やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ」ミネルヴァ書房.
菅原伸康(2011)「特別支援教育を学ぶ人へ―教育者の地平」ミネルヴァ書房.
本レポートでは、脳性麻痺の定義と病型分類および教育的対応について述べます。
1. 脳性麻痺の定義
1968年の厚生省脳性麻痺研究班における脳性麻痺の定義は、「受胎から新生児期の脳の非進行性病変に基づく、永続的なしかし変化しうる運動および姿勢の以上である。その症状は2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害または正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する」となっています。諸外国では異なる国もあり、2歳までに生じた脳障害による麻痺を含める国もあります。
2. 脳性麻痺の病型分類
脳性麻痺は部位による分類では4種類、運動障害によっては5種類に分類されます。
(1) 部位による種別
1) 四肢麻痺
上肢と下肢の両者において同程度の麻痺がある状態であり、脳障害が広範囲であり知的障害を伴うことが多くなります。
2) 両麻痺
腰から下肢の麻痺が目立つ状態です。2歳半頃までに坐位が可能であれば補装具の使用による歩行ができる例が多いことが知られています。
3) 片麻痺
体の半身が上手く動かない状態であり、反対側の脳の障害が原因です。
4) 単麻痺
四肢のうち、1つだけに麻痺を示す種...