S評価。見かけの長さの変化に錯視が生じた場合、なぜそのズレが発生したのかを理論的に解説できている。角度の違いによる影響についても良く書けている。日常における錯視についてもよく調べられており、しっかりと考察できている、と評価を頂いています。
ミュラー・リヤー錯視
問題
私たちは普段生活している世界をあるがままに知覚しているわけではない。そのような事象を
錯覚という(大山・今井・和気,1994).そして、錯視とは視覚的錯覚のことであり、対象(刺激)
の大きさ、形、明るさなどが、本来の物理的性質と異なって見える現象である。錯視は単なる見
誤りではなく、我々が普段生活している世界と私たちの中で構築されている知覚世界との食い違
いやズレを顕著に表している。従って、錯視を研究することにより、私たちの知覚世界を成立さ
せる基本原理を探ることができる(椎名,1995)。
代表的な錯視現象として、ミュラー・リヤー錯視がある。本実験では、代表的な錯視であるミ
ュラー・リヤー錯視を取り上げる。この錯視は、主線とその左右に位置する矢羽とで構成される
(北岡,2010:図1)。そして矢羽の角度の変化によって主線の見かけの長さが本来の長さとは異
なって知覚される。本実験では、主線と矢羽のなす角度に注目し、その影響(見かけの長さの変
化)について検討する。また錯視が発生した場合、なぜそのような見えのズレが生じたのかを考
えてみる。
図1 ミュ...