?.はじめに
近年、高齢化と少子化が進むにつれ国民負担のある社会保障関連分野が注目されてきた。中でも年金制度の諸問題については、来年度に改正(一部は今年度から)があることから、昨年あたりから本格的な議論が行われてきた。すでに改正法案も衆参両議院を通過し、今年の10月から本格的に改正が始まる。しかし、この改正案は年金関連諸問題を解決するというには程遠いものと言われている。私は、この改正の行方に注目するにつれ年金に対して大きな関心を抱くようになりテーマとした。公的年金制度全てを対象とするのは問題が大きすぎるため、国民年金の加入率が五割程度(朝日新聞調べ)の20代に焦点を当てた。なかでも、自分自身が大学生であることと、社会人ではなく、一定の収入が必ずしもあるわけではないが、納付義務のあるという特殊な立場にあることから大学生というカテゴリーに注目した。公的年金制度の空洞化が進み、不信感が強まるなかで、調査結果を基に自分なりの要因を導き問題を明らかにした上で年金制度のあり方を考えていく。
?.公的年金制度とは
1.公的年金制度の概要
日本の現行の公的年金制度には大きく分けて国民年金、厚生年金、各種共済年金(国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校振興共済事業団)、議員互助年金、地方議会議員年金がある。いずれの制度も、加入者が保険料を支払い、その保険料に国庫負担を加えたものを財源とし、そこから年金が支給される仕組みをとっている。公的年金の運用方式は、現役時代に自身の保険料を積み立てた分を老後に受給する「積み立て方式」と、現役世代の保険料が受給者の年金になる「賦課方式」があるが、日本はこの双方を取り入れた「修正積み立て方式」をとっている。つまり、年度ごとの国庫負担や保険料に加え、これまでに運用してきて黒字であった分を積み立ててきた積立金で運営されているということである。公的年金の構造は見かけ上は基本的には二階建てになっているといわれている。
大学生と年金
~大学生対象年金知識意識調査をもとに~
大学生と年金
目次
Ⅰ. はじめに
Ⅱ. 公的年金制度とは
1. 年金制度の概要
2. 大学生における年金制度
3. 年金制度の動向
Ⅲ. 研究の仮説・目的
Ⅳ. 研究方法
1. 調査対象・方法
2. 調査期間
3. 調査内容・調査項目
Ⅴ. 研究結果
1. 単純集計結果
2. クロス集計結果
(1) 基本属性におけるクロス集計結果
(2) 専攻学問類型におけるクロス集計結果
Ⅵ. 考察
1. 調査考察
2. 年金制度の果たす役割
資料
1. 参考文献
2. 調査票
3. 調査の振り返り
Ⅰ.はじめに
近年、高齢化と少子化が進むにつれ国民負担のある社会保障関連分野が注目されてきた。中でも年金制度の諸問題については、来年度に改正(一部は今年度から)があることから、昨年あたりから本格的な議論が行われてきた。すでに改正法案も衆参両議院を通過し、今年の10月から本格的に改正が始まる。しかし、この改正案は年金関連諸問題を解決するというには程遠いものと言われている。私は、この改正の行...