X連鎖リンパ球増殖性症候群
◎キラー細胞活性化の制御
私たちの免疫系は常にウイルスにさらされている。ウイルスは自力で増殖できず、生きた細胞の生合成機構を自己複製のために利用する寄生体として進化してきた。これらのウイルスに対する唯一の効果的な免疫応答は、ウイルスが寄生している細胞を殺すことだ。自然免疫系・適応免疫系は共にウイルス感染を制御するよう進化してきた。自然免疫応答において、NK細胞(Fig.20.1)は常にウイルス感染表示マーカーを提示する細胞を監視している。この応答はウイルスとの免疫学的経験を必要とせず、特にウイルスとの最初の接触のときに重要となる。適応免疫において、ウイルス特異的エフェクター細胞傷害性Tリンパ球はウイルスに対する初期免疫応答時に産生され、ウイルス特異的記憶細胞傷害性T細胞のプールを作る。同一ウイルスへの再暴露が起こると、環境からの再感染や体内に潜在しているウイルスの再活性によって、これらの細胞傷害性T細胞はウイルス抗原を提示している宿主細胞を素早く認識し破壊する。
効果的な細胞傷害性T細胞とNK細胞の応答の誘導には、複数の独立した信号の協調的な活動が必要である。NK細胞は受容体として2つのclassを発現しており、それぞれNK細胞の細胞破壊を活性、もしくは抑制する。潜在的標的細胞の運命は、受容体を通してNK細胞に伝達される活性/抑制信号のバランスにより決定される(Fig.20.2)。活性化受容体には、炭水化物の構造を認識するNKR-P1系と、IgGを結合し抗体依存性細胞傷害(ADCC; Fig.20.3)を仲介できるFcγRIIIを含む。活性化したNK受容体2B4は、免疫グロブリンスーパーファミリー(機能は異なるが構造や配列が似た遺伝子の集団)のサブファミリーの一員で、標的細胞上のCD48と相互作用する。MHCクラスⅠ分子と相互反応するキラー抑制性受容体(KIR)やCD94/JKG2Aを含むいくつかの抑制性受容体は特徴づけられる。
ウイルス性感染は、タンパク質合成やMHC分子合成などの通常宿主細胞機能をしばしば妨害する。加えて、ある種のウイルスは細胞タンパク質の糖鎖形成を変化させ、細胞遺伝子の転写を誘導し、それは新しい細胞表面構造の発現を増加させる。活性NK受容体2B4の標的であるCD48は、最初、Epstein-Barrウイルス(EBV)に感染したB細胞上に認められた。従って、ウイルス感染の混合効果は、MHC class1分子の認識上のKIR仲介NK細胞阻害における付随的減少を伴いCD48を含むNK細胞活性化信号の増加発現を含んでいる。これらの信号はNK細胞性破壊の誘発の一致において働く。
ウイルスへの適応免疫応答は、受容体によって制御されている細胞傷害性T細胞としてエフェクターの状態にウイルス特異的CD8 T細胞の活性化を頼る。これらの中で最も重大なものはT細胞抗原受容体で、それはウイルス抗原を発現している細胞の表面のある抗原由来ペプチドとMHC class1分子の複合体と相互作用している。しかしナイーブCD8 T細胞のために、T細胞受容体の結合は必要にも関わらず、活性化には十分でない。実際、T細胞受容体連結が単独で起こるとき、それは負の信号として働き細胞性免疫反応不顕、つまりT細胞が引き続き同一抗原への接触に伴う活性化に対して抵抗している状態、を誘導している。T細胞と標的上に発現した付属分子の相互作用によって出される2回目の信号は、細胞傷害性T細胞の基本的な活性化に不可欠であるヘルパーT細胞の活性化を引き起すT細胞
X連鎖リンパ球増殖性症候群
◎キラー細胞活性化の制御
私たちの免疫系は常にウイルスにさらされている。ウイルスは自力で増殖できず、生きた細胞の生合成機構を自己複製のために利用する寄生体として進化してきた。これらのウイルスに対する唯一の効果的な免疫応答は、ウイルスが寄生している細胞を殺すことだ。自然免疫系・適応免疫系は共にウイルス感染を制御するよう進化してきた。自然免疫応答において、NK細胞(Fig.20.1)は常にウイルス感染表示マーカーを提示する細胞を監視している。この応答はウイルスとの免疫学的経験を必要とせず、特にウイルスとの最初の接触のときに重要となる。適応免疫において、ウイルス特異的エフェクター細胞傷害性Tリンパ球はウイルスに対する初期免疫応答時に産生され、ウイルス特異的記憶細胞傷害性T細胞のプールを作る。同一ウイルスへの再暴露が起こると、環境からの再感染や体内に潜在しているウイルスの再活性によって、これらの細胞傷害性T細胞はウイルス抗原を提示している宿主細胞を素早く認識し破壊する。
効果的な細胞傷害性T細胞とNK細胞の応答の誘導には、複数の独立した信号の協調的な活動が必要である...