中央大学通信教育2018年度 評価はAになります。
第3課題
1,未然防止原則と予防原則
⑴未然防止原則
経済活動が環境にどのような影響を及ぼすかについての科学的知見が十分に蓄積されて
いなかった時代の我が国の環境法においては,経済活動への過剰な規制が懸念されたこと
から,調和条項が各環境法の目的に置かれ,環境と経済はトレードオフの関係とされてい
た。そのため,この時代の公害対策は,被害が発生し,それに関する因果関係が明らかに
なってから対応するという事後的なものにとどまっていた。
公害による甚大な被害及び数多くの公害訴訟を経て,環境の保全を目的とした環境基本
法が制定された。同法では環境の保全は「科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が
未然に防がれることを旨として,行われなければならない 。」 とされている(同法4条 )。
環境への影響について,原因行為と結果との因果関係に関する科学的知見が存在する場合
には,それを踏まえて制度設計を行い,被害発生を防止すべきなのである。このように,
科学的知見に基づき,環境への支障が生ずる前に原因行為を規制すべきであるとする考え
方を「未然防止原則」という...