大きさの恒常性について、目的・方法・結果・考察の順にまとめてあります。
【目的】
私たちが外界のものを見るとき、遠ざかっていく車が距離と反比例的に大きさを縮小して見えることはないし、ずっと遠方の車が隣にいる友達の顔より小さく見えることもない。
網膜上の大きさは対象との距離に反比例して大きくなったり小さくなったりしているのだが、網膜像の対象が変化しても見える対象の大きさがほぼ一定に保たれる。このような現象を「大きさの恒常性」という。
本実験では、「大きさの恒常性」が観察条件(単眼視と両眼視)によってどのような影響が現れるのかを検討する。
【方法】
被験者:
心理学科の大学生13名(男子7名、女子6名)を対象に実験を行なった。
装置:
観察台、長方形の机を2台、標準図形(底辺が14cm視角は4°、高さ20cm視角は5.7°の二等辺三角形)、筆記用具、記録用紙、定規、分度器、ガムテープを使用した。また、比較図形として標準図形と相似形を保ちながら、大きさを自在に変化できる三角形を使用した。
観察距離:
標準図形までは2m、比較図形までは1m。観察者から見て30°の角度をなすように配置した。(図1参照)
手続き:
実験は極限法で行なった。被験者は、観察距離になるよ...