中央大学 法学部 通信教育課程 2016年 民法2 第2課題

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    問題

     「取消しと登記」をめぐる判例理論を説明し、それを論評しなさい。
    登記簿に記載されることを「登記」いい、遡及的に行為を無効にすることを「取消し」(民法121条)という。判例は、取消と登記の問題を巡って理論が二元的構成になっており、取消し前の第三者の場合は取消しの遡及効(同上121条)を貫徹し、取消後の第三者の場合は取消の遡及効を否定している。

    ➀取消し前の第三者について、判例は取消の遡及効を前提とした「無権利説」をとる(大判昭和4・2・30民集8・59)。無権利説は、制限行為能力者と強迫による取消しの場合、取消しの意思表示をした表意者は、第三者に対して登記なしに対抗することができる。したがって、強迫又は、制限行為能力者による取り消しの場合は、第三者は保護されない。一方で、第三者保護規定がある場合(96条3項の詐欺による取消しの場合)は、第三者が善意の場合には、第三者に対して対抗することができない。さらに、96条3項の第三者として保護されるための要件として、登記を備えているか必要があるのかが問題になった。が、判例は、「当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至...

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