1.電話の発明
電話は電気音響の基本となる製品で、マイクロフォン、スピーカー、録音機といった装置の原理はこれから始まった。その原理とは、「電気音響変換」のことで、音を電流に変える、あるいは電流になった音を戻す装置のことである。そしてその電話を発明したのは、一般にアメリカ人のアレキサンダー・グラハム・ベル(※下写真)だと言われている。
ベルは1847年スコットランドのエジンバラで生まれた。祖父、父ともに聾唖教育の専門家で、父のメルヴィル・ベルは読唇術の発明者として知られ、世界初の聾唖学校を設立した。また三重苦のヘレン・ケラーを教育したサリバン女史もメルヴィルの教え子であったらしい。
グラハム・ベルはエジンバラ大学と、ロンドン大学で音声学を学んだ。ロンドンで、電気学の権威者でもあり、発明家でもあるチャールズ・ホイートストン卿の教えを受けたことが、電話の発明につながったといわれている。ベルは彼から電信機と磁気理論を学んだ。
ベルは人工で鼓膜を作り、音を受けて電気信号に変え、電信のように遠方へ送信できないかと考えた。これを聞いたホイートストン卿は、激励したものの到底無理だと考えていた。音声を電気に変換するには、音で発電する装置が必要で、理論上不可能だと一部の学者の間では結論付けられていたのである。電気学の初歩を学んだだけのベルには、音響の発電装置といった複雑な構想は考えになかった。後にホイートストン卿は「ベルが電気学をマスターしていたら、電話機は発明できなかっただろう。学問は時として空想の翼をもぎ取るようだ。」と言っている。
さて、ベルが最初に手がけたのはホイートストン卿から学んだ電信機の改良で、一本の電線に八つの信号を送る、多重通信の発明である。
電話の歴史
目次
第1章 ―電話の歴史―
1.電話の発明・・・・・・・・・・・・2ページ
2.日本の電話の歴史・・・・・・・・・8ページ
第2章 ―携帯電話の仕組みと歴史―
1.移動体通信の歴史・・・・・・・・・13ページ
2.携帯電話の仕組み・・・・・・・・・18ページ
3.PHSの仕組み・・・・・・・・・・・34ページ
4.次世代携帯電話について・・・・・・38ページ
―電話の歴史―
1.電話の発明
電話は電気音響の基本となる製品で、マイクロフォン、スピーカー、録音機といった装置の原理はこれから始まった。その原理とは、「電気音響変換」のことで、音を電流に変える、あるいは電流になった音を戻す装置のことである。そしてその電話を発明したのは、一般にアメリカ人のアレキサンダー・グラハム・ベル(※下写真)だと言われている。
ベルは1847年スコットランドのエジンバラで生まれた。祖父、父ともに聾唖教育の専門家で、父のメルヴィル・ベルは読唇術の発明者として知られ、世界初の聾唖学校を設立した。また三重苦のヘレン・ケラーを教育したサリバン女史もメルヴィルの教え子であったらしい。
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