経済基調の変化と人口高齢化
第1項 石油危機後の物価上昇と社会保険費用の拡大
昭和48年に起こった石油危機は、著しい物価上昇をもたらし、我が国をパニック状態に陥れた。この「狂乱物価」に伴って、老人、心身障害者、母子家庭、低所得者等の社会的弱者と言われる人たちに対する各種社会保障給付水準が大幅に引き上げられることとなった。また、社会保障給付費の国民所得に対する割合も急速に増加した。
社会保障制度審議会は、昭和48年、「当面する社会保障の危機回避のための建議」を行い、インフレーションによる所得分配の不公正を是正するため、社会保障制度のもつ所得再分配機能を強化することを要望した。同じ時期に、国民生活審議会総合部会は、「物価上昇下の分配等の歪み是正等について」と題する中間報告で、低所得者層に対する社会的不公正の是正を提言した。こうして、物価の高騰に対処して各種社会保障給付の金額改定が行われた。
第2項 安定成長への移行と行財政改革
昭和49年度後半には、物価安定化の徴候がみえ始めると同時に需要の低迷、生産活動の低下、雇用の減退、企業収益の悪化等がみられ、経済不況が深刻になってきた。その結果...