生理学実験
腎機能
1、目的・緒言
腎臓は腹腔内腰部に存在し、脊柱の右側と左側に一つずつ腹部天井に押し付けられるように位置している。その働きは血液を濾過し、また再吸収して体内の内部環境を整えて不要物を外界へ捨てるために尿を生成することと、レニン分泌をする内分泌器官として働くことの二つである。主な働きは前者であり、発生学的に生殖器と密接に関連するため「尿生殖器」として一括りに表される。
腎臓は尿を生成する場であり、血液を濾過して不要物を体外に排出する。まず糸球体において血液を濾過するが、ここで分子量の大きい血中タンパク質などは濾過されずに全身血管に戻る。次に濾過された原尿は近位尿細管において、水、グルコース、アミノ酸、リン酸塩、硫酸塩、Cl-、Na2+などの再吸収が行われる。グルコースはこの段階で100%再吸収されるが、糖尿病患者の場合は血糖の量が再吸収能を上回るため、尿中に糖が排出される。近位尿細管の上皮細胞は間質側にNa+-K+ ATPaseをもち、能動的にNa+を間質側に排出して管腔側と上皮細胞の間で濃度勾配を作り出し、それを駆動力として各種トランスポーターが働いて物質の再吸収を行う。一方で近位尿細管はイオンの分泌という機能も有する。血液中に存在する不要な有機イオンを排除するために分泌を行っている。これらのイオンは血中タンパク質と結合するために糸球体で濾過することができないので、近位尿細管にて分泌されるのである。例として胆汁酸塩やクレアチニンなどが挙げられる。ヘンレのループは水の再吸収を行う。間質は皮質側から髄質側にかけて濃度は高くなり、濃度勾配が成立している。そこをヘンレのループは最初に下行し、その後上行する。下行するときは水が再吸収されて管腔内の浸透圧は上昇する。そして、上行脚では管腔内の浸透圧が高いため、Naが再吸収されて希釈される。このようにしてヘンレのループにおいて下行脚では水の再吸収を、上行脚では希釈尿を形成している。続く集合管は抗利尿ホルモンのバソプレシン(鳥ではアルギニンバソトシン)に反応し、アクアポリン(AQP)の数を増やして水の再吸収を促し、抗利尿作用をもたらしている。
本実験では実験動物としてウサギを用いる。左右尿管にカニューレを装着して試験管に尿を採取する。静脈内に生理食塩水、グルコース、カフェイン、アミロライドを投与して、腎機能への影響を尿の生成量を元に調べる。
2、材料・器具・試薬
材料:ウサギ
器具:保定管、手術台、バリカン、カニ
ューレ、注射器、試験管
試薬:生理食塩水、10%グルコース、0.5%
カフェイン、266μg/mlアミロライ
ド
3、方法
ウサギを保定管を用いて保定し、耳介静脈からネンブタール(30mg/kg体重)を注射して麻酔した。
術野の毛を刈り、手術台に固定した。
気管を露出して気管カニューレを装着し、薬物投与用の静脈カニューレを装着した。
膀胱を露出させ、たまっている尿を注射器を用いて除く。左右の尿管を露出させてカニューレを装着させて、尿を継続的に試験管に採取した。このとき、尿量は重さで測定した。
以下の薬物を投与して尿の生成量への影響を調べた。なお、10分ごとに試験管を換えて尿量を測定した。
生理食塩水 1ml/kg体重
10%グルコース 1ml/kg体重
0.5%カフェイン 1ml/kg体重
266μg/m
生理学実験
腎機能
1、目的・緒言
腎臓は腹腔内腰部に存在し、脊柱の右側と左側に一つずつ腹部天井に押し付けられるように位置している。その働きは血液を濾過し、また再吸収して体内の内部環境を整えて不要物を外界へ捨てるために尿を生成することと、レニン分泌をする内分泌器官として働くことの二つである。主な働きは前者であり、発生学的に生殖器と密接に関連するため「尿生殖器」として一括りに表される。
腎臓は尿を生成する場であり、血液を濾過して不要物を体外に排出する。まず糸球体において血液を濾過するが、ここで分子量の大きい血中タンパク質などは濾過されずに全身血管に戻る。次に濾過された原尿は近位尿細管において、水、グルコース、アミノ酸、リン酸塩、硫酸塩、Cl-、Na2+などの再吸収が行われる。グルコースはこの段階で100%再吸収されるが、糖尿病患者の場合は血糖の量が再吸収能を上回るため、尿中に糖が排出される。近位尿細管の上皮細胞は間質側にNa+-K+ ATPaseをもち、能動的にNa+を間質側に排出して管腔側と上皮細胞の間で濃度勾配を作り出し、...