「減価償却制度の課題についての改善点の研究」と題して法人税法の観点から4000字で論じています。
減価償却制度の課題についての改善点の研究
現行法人税法における減価償却制度の課題
筆者は、現行法人税法における減価償却制度の課題を、大きく2つに分けて論じたい。第1に、償却について法人の恣意性が介在する制度となっているため、課税の公平性を損なっている点である。第2に、少額の減価償却資産の損金算入制度の課題である。NTTドコモ事件でクローズアップされた問題点である。
恣意的な償却制度
①課題
第1の恣意的な償却制度の課題であるが、定額法と定率法の選択制度の問題と、償却限度額の範囲内における任意償却の問題がある。これらの問題は、平成26年度の政府税制調査会においても指摘されていて、「減価償却方法の選択の柔軟性は、資産の使用実態に合わせた適切な減価償却費の計上が目的だが、実際はその時々の損益状況に応じた節税効果の観点から選択が行われているおそれがある。特に初期の償却限度額が大きくなる定率法は、所得操作の可能性を大きくする。また、法人によって減価償却方法が異なるという不均衡を生じさせるおそれがある。」とし、「減価償却は使用実態に合わせて行うこととされているが、償却限度額の範囲内で償却...