学校教育には、教科を通して知識を伝授する、集団の中で社会性を身につけさせるという「教える」側面と、人として心理的に健康に成長できるように援助を行うという「育てる」側面がある。近年、社会や家庭など子どもを取り巻く環境の急激な変化や価値観の多様化などにより、子どもが生き甲斐や目標を持つことが困難になってきている。教師が自らの立場を生かし、教育実践を充実させていくために学校教育相談がどのように資するかについて考察する。
「学校現場で教育相談はどのように資するか」
学校教育には、教科を通して知識を伝授する、集団の中で社会性を身につけさせるという「教える」側面と、人として心理的に健康に成長できるように援助を行うという「育てる」側面がある。近年、社会や家庭など子どもを取り巻く環境の急激な変化や価値観の多様化などにより、子どもが生き甲斐や目標を持つことが困難になってきている。子どもが示す様々な不適応行動の背景には、それらの要因が少なからずかわわっているといえよう。これを受けて学校教育においても、一人ひとりの生徒が積極的・意欲的に学校生活を送り、心理的に成長できるように「育てる」という視点がますます重視されるようになってきている。これまで教師たちは問題や課題をかかえる子どもを援助するために、カウンセリングの技法やパーソナリティの発達理論、不適応に関する理論などを学校教育相談に生かそうと努力してきた。一方で、学校という場や教師という立場を生かすことができなかったために、十分な成果が得られなかったり、教師間の対立を生んだりすることもあった。そもそも、教育とカウンセリングには、その役割(評価か受容か)、両者の関係(自...