不法利得課税に関する一考察の研究計画書です。4000字。
不法利得課税に関する一考察
Ⅰ. 問題の所在
不法利得が所得税法上課税対象となるか否かについては、課税所得とされることは既に通説となっている。この点については、制限超過利息に係る課税において議論されてきたところである。
しかし、社会福祉法人理事長横領事件では、京都地裁平成14年9月20日判決と大阪高裁平成15年8月27日判決で判断が分かれることとなった。民事訴訟において理事長に損害賠償請求が確定した横領部分について、前者では給与とは言えないとしたものの、後者では認定給与として法人側には源泉徴収義務まで認めた。
不法利得に対する課税は、実質課税の原則を根拠とされてきたが、役員等の不法行為に係る認定給与課税の場面では、私法と税法との齟齬が甚だしく、源泉徴収義務まで絡み、由々しき問題となっている。
本研究では、とくに役員等の不法行為に係る認定給与課税の問題について、認定給与課税の法理を検討し、実質課税を根拠とする不法利得の課税論の文脈にどのように位置付けられるのか、検討する。
研究の進行によって、この問題の解決に向けての提言を考えていくが、現段階では、認定課税の場面で源泉...