究極のモテ女とは−源氏物語を中心に−

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    資料紹介

    はじめに
    モテたい。他の誰よりも愛されたい。いつの時代も変わらず、誰もが一度は望むことだろう。そのために、私たちは努力をする。料理の腕を磨いたり、メイクを研究したり、ファッションに気を使ったり、派手な服装、立ち振る舞いをしたり。人間は本能的に美しいものを求める。やはり、美しい女性は愛される、という考えが一般的だろう。しかし、さほど美しくなくても、常にモテモテで困る、という人もいれば、容姿端麗なのに、いつも愛されない、男に悩まされるという人もいる。それでは本当に「愛される女」になるためには一体何が必要なのだろう。容姿なのか?性格なのか?教養なのか?簡単そうにみえて難しく、なかなか答えのみえない問題だ。本稿では平安時代の代表的な恋愛小説「源氏物語」を中心に「モテる女」の秘訣を見いだし、現代と比較して、「究極のモテ女像」を作り上げていこうと思う。
    第一章 「源氏物語」における「モテ女」とは―「雨夜の品定め」からみえる理想の女―
     “愛される女、モテる女”になるためにはどのような要素が必要なのだろうか。まず初めに、源氏物語の「帚木」の中で貴族の男性四人が女性論を展開していく「雨夜の品定め」を用いて、平安時代の貴族の男性が好みとした女性像を考察し、この時代の男性に愛されるために必要であっただろう要素を明らかにしていきたいと思う。
     場面としては、五月の長雨が続くころ、宮中の物忌みの中、のんびりとした雰囲気の宿直所で、恋多き十七歳の光源氏と、親友の頭中将、途中から加わる左馬頭、藤式部丞の四人の男だけの座談会である。男だけで四人も集まれば、異性の話になることは現代でも変わらない。しかし、女性の気持ちを無視した、まったく身勝手な女性観が語られている。
     まず、登場人物を把握していく。
    頭中将は「源氏の正妻である葵の上の兄で、左大臣家の後継者としての立場」(一)にある。「官位も同じだし、血のつながるいとこ同士」(一)とあるように、二人はとても仲の良い親友同士でもあったようだ。源氏が、貰ったラブレターを頭中将に見せるなど、気心しれた仲であるから出来ることである
     左馬頭は「左馬寮の長官のことで、従五位上相当」(一)とある。「帚木」にだけ登場する人物であり、経歴などははっきりされていないが、「雨夜の品定め」を通じて、源氏にとても影響を与えた重要人物である。座談会でもリーダー的存在で、体験談を多く語っている。
     藤式部丞は「式部丞という官職(六位相当)」からして、藤式部丞の身分は左馬頭と比較しても相当低いことがわかる。」(一)とある。四人の仲では一番身分が低い人物、言い換えれば、より一般男性に近い人物だろう。
     次に、それぞれの体験談から、女の良い点と悪い点を抽出していく。
     左馬頭の「指食いの女」は、低い身分であるが、世話好きで裁縫と染色の技術に優れていた。しかし、不美人であったため、本妻とはされず、今でいうところの「キープ状態」の女であった。だから左馬頭は他の女を渡り歩く。左馬頭を本気で愛している女は当然嫉妬する。嫉妬は愛する故のもの。なによりも男のために、という男を立てる奉仕の精神は素晴らしいと私は思う。しかし左馬頭は「みなるるままに、心もけしうはあらずはべりしかど、ただこの憎き方一つなむ、心をさめずはべりし、」(二)という。私からすると自信家な男の身勝手な発想であると感じるが、左馬頭はどうしても嫉妬深さが許せなかったようだ。自分の外見をカバーするためには、自分の誰にも負けない愛する心だと考える女の気持ちも少しは理解してもらいたい。この話から、若い男には愛する心で

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    はじめに
    モテたい。他の誰よりも愛されたい。いつの時代も変わらず、誰もが一度は望むことだろう。そのために、私たちは努力をする。料理の腕を磨いたり、メイクを研究したり、ファッションに気を使ったり、派手な服装、立ち振る舞いをしたり。人間は本能的に美しいものを求める。やはり、美しい女性は愛される、という考えが一般的だろう。しかし、さほど美しくなくても、常にモテモテで困る、という人もいれば、容姿端麗なのに、いつも愛されない、男に悩まされるという人もいる。それでは本当に「愛される女」になるためには一体何が必要なのだろう。容姿なのか?性格なのか?教養なのか?簡単そうにみえて難しく、なかなか答えのみえない問題だ。本稿では平安時代の代表的な恋愛小説「源氏物語」を中心に「モテる女」の秘訣を見いだし、現代と比較して、「究極のモテ女像」を作り上げていこうと思う。
    第一章 「源氏物語」における「モテ女」とは―「雨夜の品定め」からみえる理想の女―
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