社会科の歴史や学習指導要領の変遷、「授業とはなにか」、「公民的資質」
を総合的に考察し、公民科授業のあり方を説明しなさい。
(1)社会科の歴史
戦前社会科系教科は修身、地理、歴史、など各教科とも愛国心や国民的意識の高揚を目的とするナショナリズム教育の性格を強く持つものであった。この教則の思想的背景が教育勅語であった。教育勅語は神格化された天皇の絶対的権威をもって、国民道徳と教育の基本理念を上から与えるものであった。その中心思想が「国体」であり、神話に基づく宗教的な思想である。そのためこれを教える社会系教科には、非合理的非科学的な内容が取り込まれることになってしまった。
そして、日本はその後、急速に軍国主義の道に進んでいくことになり、社会科も一層国家主義的性格を強めることとなった。
そして、1945年、ポツダム宣言を受諾し、降伏した我が国は、アメリカを中心とする連合軍のもと、軍国主義、超国家主義の排除、すなわち教育の民主化が求められていくことなった。そのなかで社会科は、社会生活についての良識と性格を養うことを目的として、従来の修身・地理・歴史の内容を融合して一体的に学ぶべきものとされ...