広告とは商品を宣伝するものである。しかし、単に製品の性能を宣伝するだけでは、その製品は競争力のある商品とはならない。そもそも、イノベーションがどれほど盛んになっても、性能面における画期的な新製品など、そう簡単に開発できるものではない。商品開発はほとんど飽和状態である。この時、広告は非常に重要な役割を持つ。その役割とは、その商品のある生活がいかに幸福であるか、というイメージを視聴者/消費者に印象付けることである。そういった広告を通して、商品は幸福というイメージを表現する記号となるのである。三種の神器や3Cと呼ばれた家電が爆発的に売れたのも、街頭テレビ・家庭用テレビの普及により、これらの家電のある生活が視聴覚的にイメージされた結果であろう。こうして広告は商品のイメージを宣伝し、商品は幸福を示す記号として作用し、消費者は自己実現のためにその商品を希求することになる。そるとそこには、商品の実用を超えた価値が想像されることになる。マルクスの言うところの交換価値である。使用価値としては他社製品と大差ないものであっても、その商品のイメージがブランド化され付加価値となるのである。
しかし、自社製品...