この資料は、国立大学大学院の審査に合格した修士論文です。主査と副査は、三名とも教授です。学内でもとても厳しい先生と言われています。また、大都市部にある国公立大学大学院の博士後期課程の入試において、この修士論文を提出して、教授数名の審査の結果、合格しました。
卒論・修士論文を書く方、大学院の入試で論文を提出される方(大学院の入試では、卒論や修士論文もしくはそれに代わる論文の提出が求められます)の参考になれば幸いです。
第1章 野外活動の意義と現状
第1節 問題の所在と研究の目的
第1項 理科授業と野外活動の意義と現状
理科授業において、自然体験の重要性は強く言われている。自然体験により自然認識が発達する。
1 問題の所在と研究の目的
理科授業において、自然体験の重要性は強く言われている。自然体験により自然認識が発達する。戸北(1988)は「理科授業実践の中で本格的に取り組まれるべきことは自然認識に関する発達特性である。」と述べている。根本(1985)は「理科教育は自然を対象とした学習であり、野外に出て自然と接する学習する形態は、有形無形の多くの成果が得られる。環境教育のように、自然科学や社会科学的な方法を総合的にとり入れる実習も有効である。」と述べている。このように自然体験の重要性が説かれているにも関わらず、教育現場において自然体験不足が指摘される。文部科学省(2004)は「子どもの育ちをめぐる環境の変化、地域社会の教育力の低下、都市化や情報化の進展によって,子どもの生活空間の中に自然や広場などといった遊び場が少なくなる一方で,テレビゲームやインターネット等の室内の遊びが増えるなど,偏った体験を余儀なくされている。」と指摘している。
また野外教育を行う教員の野外体験不足も指摘される。藤岡(2001)は野外学習において教員が野外活動の経験を積むことの重要性を挙げ「野外調査の経験が豊富な...