現代離婚法の問題点

閲覧数8,004
ダウンロード数38
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    離婚の概要
     現在、離婚件数は、人口動態統計によると1996年には、年間の婚姻件数79万件に対して、20万件を超えている。つまり、この数字から4組に1組の離婚があるということがわかる。このような離婚増加の傾向の背景には、女性の地位の向上、婚姻観の変化等様々な問題があると考えられる。このような離婚の要因、増加に対して最近、次々と離婚法の改革の動きが現れている。
    離婚とは、生存中の夫婦が婚姻関係を解消することであり、日本においては、離婚制度として、協議、調停、審判、裁判(判決)の4種類が認められているが、離婚全体の9割は協議による離婚が占めている状況にある。
    その協議離婚は、夫婦の離婚意思が一致すれば、夫婦の署名捺印のある離婚届を市町村長に提出し、それが受理されたときに成立する。この場合、協議によって夫婦の一方を親権者として定めなければならないとされている。調停離婚は、離婚の協議が不成立のとき、当事者の申し立てによって家庭裁判所が行う調停による離婚であり、調停が成立すると、確定判決と同一の効力を有することになる。審判離婚は、調停が成立しないとき、家庭裁判所が職権に基づき、審判によって行う離婚であるが、2週間以内に異議の申し立てがあれば、その効力は無効となる。裁判離婚は、法定の離婚原因がある場合、裁判所の判決によって行われる離婚であるが、調停不成立の場合でなければ離婚の訴えを起こすことは出来ない(調停前置主義-家審18条)。
    このような離婚の効果としては、第一に、夫婦の氏の処理、第二に、未成年の子の処遇、第三に、夫婦の財産関係の処理が挙げられる。このような、人格的効果、財産上の効果、子の扱い、その他の効果についても以下の問題点の中で詳しく論じていくこととする。
    現行離婚法の問題と検討
     現行の離婚法が抱えている問題として、第一に、どこまで離婚を広く認めるかという、離婚の要件をめぐる問題、第二に、離婚後の妻の生活をどのように保護するか、また子供の監護をどうするか、といった離婚後の処理の問題がある。
    第一の問題点としては、協議離婚において離婚意思の確認ができないことから、不当離婚を防止できないということが挙げられる。また、裁判離婚における離婚原因として、「5年の別居」を加えることが提案されているが、これを認めうるか問題となる。加えて、裁判離婚については、有責配偶者からの離婚請求を認めうるかという問題もある。また、第二の問題点としては、離婚においては、夫婦と親子の人的関係と財産的関係の調整と離婚後の生活保障がなされなければならないが、これについて現行法は不十分であり、様々な問題が生じているという問題がある。具体的には、財産分与、子との面接交渉、子の養育権の問題が挙げられる。
    以下に、以上の問題点につき項目ごとに民法改正要綱と関連して詳しく論ずる。また、有責配偶者からの離婚請求の可否については、判例も多く、学説上も激しい争いがあるものであり、重大な問題であると考えることから、特に詳しく検討するものとする。
    1、協議離婚における離婚意思について
    離婚の約9割を占める協議離婚については、実質的要件として離婚の意思が要求され、形式的要件として戸籍法の定めによる届出が要求されている。離婚届については、婚姻届と同様、戸籍吏には実質審査権はなく、書面審査しかなされない。そのため、協議離婚の名に値しないものが混入する虞があり、不当な離婚まで容認されてしまうという問題がある。具体的に言うと、夫婦の一方が他の者と再婚したいために他の一方の意に反して離婚届を出したり、一時的に頭に

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    離婚の概要
     現在、離婚件数は、人口動態統計によると1996年には、年間の婚姻件数79万件に対して、20万件を超えている。つまり、この数字から4組に1組の離婚があるということがわかる。このような離婚増加の傾向の背景には、女性の地位の向上、婚姻観の変化等様々な問題があると考えられる。このような離婚の要因、増加に対して最近、次々と離婚法の改革の動きが現れている。
    離婚とは、生存中の夫婦が婚姻関係を解消することであり、日本においては、離婚制度として、協議、調停、審判、裁判(判決)の4種類が認められているが、離婚全体の9割は協議による離婚が占めている状況にある。
    その協議離婚は、夫婦の離婚意思が一致すれば、夫婦の署名捺印のある離婚届を市町村長に提出し、それが受理されたときに成立する。この場合、協議によって夫婦の一方を親権者として定めなければならないとされている。調停離婚は、離婚の協議が不成立のとき、当事者の申し立てによって家庭裁判所が行う調停による離婚であり、調停が成立すると、確定判決と同一の効力を有することになる。審判離婚は、調停が成立しないとき、家庭裁判所が職権に基づき、審判によって行う離...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。