発掘調査について
目次
1. 考古学と発掘
2. 発掘と法律
3. 事前調査
4. 本調査
5. 記録
発掘調査とは過去の人間が生活した生活環境と自然環境を、確認し、理解するための作業である。本稿では発掘調査の流れについて説明していきたい。
1.考古学と発掘 考古学とは、浜田耕作が、イギリスのホガースの著書から「過去人類の物質的遺物(により人類の過去)を研究する学なり」と定義したように、物質的資料を研究の手段とする学問であるから、考古学にとって発掘は良質の資料を得るための不可欠の事業である。物質的資料とは、石器・土器・青銅器・鉄器・瓦(かわら)などの遺物、住居址(し)・墳墓・水田址・倉庫・寺院址・官衙(かんが)などの遺構、この両者を含む遺跡をさすが、かならずしも人類の意図的な痕跡(こんせき)とはいえない足跡・糞石(ふんせき)・轍(わだち)、貝塚中の貝・獣骨・魚骨なども資料に含まれる。発掘にとって重要なのは、これら資料の単なる収集ではなく、遺物と遺物、遺物と遺構、遺構と遺構の位置関係を明らかにすることで、これが発掘調査の目的といってもよい。原位置(出土地点・出土層位)が明らかでない遊離資料は、
発掘調査について
目次
1. 考古学と発掘
2. 発掘と法律
3. 事前調査
4. 本調査
5. 記録
キーワード
考古学 発掘調査 調査報告書 文化財保護法 物質的資料
発掘調査とは過去の人間が生活した生活環境と自然環境を、確認し、理解するための作業である。本稿では発掘調査の流れについて説明していきたい。
1.考古学と発掘 考古学とは、浜田耕作が、イギリスのホガースの著書から「過去人類の物質的遺物(により人類の過去)を研究する学なり」と定義したように、物質的資料を研究の手段とする学問であるから、考古学にとって発掘は良質の資料を得るための不可欠の事業である。物質的資料とは、石器・土器・青銅器・鉄器・瓦(かわら)などの遺物、住居址(し)・墳墓・水田址・倉庫・寺院址・官衙(かんが)などの遺構、この両者を含む遺跡をさすが、かならずしも人類の意図的な痕跡(こんせき)とはいえない足跡・糞石(ふんせき)・轍(わだち)、貝塚中の貝・獣骨・魚骨なども資料に含まれる。発掘にとって重要なのは、これら資料の単なる収集ではなく、遺物と遺物、遺物と遺構、遺構と遺構の位置関係を明らかにすることで、これが発掘...