参考文献:『自然環境と文化ー世界の地理的展望』山本正三・内山幸久・犬井正・田林明・菊地俊夫・山本充、原書房2011年
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1.世界の環境問題について
世界の環境問題の根本には、生態系と人間
活動との関わり方が大きく関係している。
人間のいる生物圏は、自然環境の枠組みの
中で成立し、維持されている。また、生物圏
は自然環境のストレスを受け止める自然的な
調整機能を持っている。そのため、人間を含
めた生物は自然環境の有機的な枠組みに適応
しつつ進化し、変化や多様化、そして新しい
種 の 創 造 を 行 っ て き た 。
狩猟採集生活を経て、食料の供給量以上に
人口増加する危険に直面した人間は、農牧業
の成立と発展によって定住化し、人口が増加
するようになると、土地の耕地化と居住地の
拡大が急速に進めるようになる。その結果、
人間は様々な手段で植生や地形を改変し、農
地や居住地を拡大していくことになった。
そこで人間は自然環境に働きかけ、自分た
ちの経済活動や生活に都合の良い生態系をつ
くりだすようになっていった。このような自
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然環境への働きかけは生産性の向上とエネル
ギー利用の高度化を目指して、限りなく...