教育課程の編成
教育課程とは、「学校において編成する教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育内容を生徒の心身の発達に応じ、授業時間数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である。」(文部科学省『中学校学習指導要領解説「総則編」』)と解されている。この教育課程を各学校で編成する場合には、学校教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時間数の配当を基本的な要素として検討しなければならないが、その場合に前提としなければならない原則的事項がある。『小学校学習指導要領「第1章総則」』では、①法令及び学習指導要領の示すところに従うこと、②児童・生徒の人間として調和のとれた育成を目指すこと、③地域や学校の実態を考慮すること、④児童・生徒の心身の発達段階や特性などを十分考慮すること、と示している。つまり、学校教育の目的や目標は「教育基本法」及び「学校教育法」を、学校の設置や組織、運営、教育課程の編成・標準(授業時間数)は「学校教育法施行規則」を、教育課程の基準(目標や内容)に関しては「学習指導要領」に示されているので、これに従い地域や学校の実態及び児童生徒の発達段階や特性に考慮して設定しなければならない。「学校教育法」第28条第3項及び第40条では、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」と規定しており、校長が責任者となって教育課程を編成することを示しているが、教育課程の編成作業は全教職員の協力の下に行う必要がある。
学習指導要領の変遷と教育内容の変化
わが国は、戦後大きく分けて3回の教育改革を実施してきた。1回目の教育改革は、明治の学制発布に伴う改革で、国民に教育を受ける機会を保障するものだった。2回目の教育改革は、戦後の義務教育制及び民主教育の発足に伴う改革であった。これにより、子どもたちの進学率が大幅に上昇し、教育が大衆化された「大衆教育社会」の到来であり、同時に受験競争が過熱することになった。そして、3回目である今日の教育改革が、中央教育審議会や臨時教育審議会を中心として提唱された現行の教育改革である。学歴のインフレ化に伴って、学校の中で起こったいじめ、不登校、学級崩壊などいわゆる教育の荒廃の原因が、受験競争によって過熱化した学歴社会であると、学歴社会そのものを「悪の枢軸」としてつるしあげ、新しい学力観に基づく「ゆとり教育」への転換が始まった。
では、戦後における学習指導要領と変容とその特徴を時代ごとにみていくことにする。昭和22年、アメリカのコース・オブ・スタディを範とした「試案」の文字が付いた学習指導要領が教師のための手引きとして作成された。そして、見る・聞く・話すを中心とした経験主義の立場に立ち、終身が廃止され社会科、家庭科、自由研究などが新設された。この教育改革では、戦前に形成された国家主義の解体と、新たな民主主義の発展が目指され、「終身」に代表された国家への忠誠心を育む教育が一転して教科教育中心の個人のための教育に転換した。昭和26年、教科が「基礎教科(国・算)」、「社会自然教科(社・理)」、「創造的活動(音・図・家)」、「健康保持教科(体育)」の4領域に再編され、体育は保健体育に、職業は職業家庭に、自由研究のかわりに教科外活動、特別教育活動が設けられた。しかし、この経験学習的なカリキュラムになり、児童生徒の基礎学力が低下したこと、青少年の非行、規律の低下などが問題となったことから批判されるようになる。そのため、読み・書き・計算を中心とした系統主義の学習要素が取り入れられる試みがされるようになる。昭和33年、「
教育課程の編成
教育課程とは、「学校において編成する教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育内容を生徒の心身の発達に応じ、授業時間数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である。」(文部科学省『中学校学習指導要領解説「総則編」』)と解されている。この教育課程を各学校で編成する場合には、学校教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時間数の配当を基本的な要素として検討しなければならないが、その場合に前提としなければならない原則的事項がある。『小学校学習指導要領「第1章総則」』では、①法令及び学習指導要領の示すところに従うこと、②児童・生徒の人間として調和のとれた育成を目指すこと、③地域や学校の実態を考慮すること、④児童・生徒の心身の発達段階や特性などを十分考慮すること、と示している。つまり、学校教育の目的や目標は「教育基本法」及び「学校教育法」を、学校の設置や組織、運営、教育課程の編成・標準(授業時間数)は「学校教育法施行規則」を、教育課程の基準(目標や内容)に関しては「学習指導要領」に示されているので、これに従い地域や学校の実態及び児童生徒の発達段階や特性に考慮して...