佛教大学通信課程のレポートを作成する際に参考になれば幸いです。
【設題】
「漢文」とはどのような文体か、その定義を具体的に述べよ。
添削担当者の評価を以下に示します。
【設題の把握】 十分
【テキストの理解】 十分
【評価】A
【所見】テキスト以外の文献も用いて、漢文の定義について具体的に考慮し、自分自身の考えも加えられています。
「漢文」とはどのような文体か、その定義を具体的に述べよ
私たち日本人にとって漢文との接点を持つ時期は、一般的には、中学・高校における教育課程で、中国の古典を学習する時である。したがって漠然ではあるものの、漢字のみで記された中国語の文章が「漢文」であると感じており、そこには『論語』に代表とされる道徳的内容や、「漁夫の利」「人間万事塞翁が馬」などの故事成語のもととなった挿話が書かれていると感じている。しかし、大学の講義において、中国からの留学生が「漢文」を読めない、という事態を経験した際に、「漢文」と「中国語」は必ずしも同一視すべきものではないことに気付いた。その時の発見をもとに、巻末参考文献として記した事典類を用い、「漢文」の定義を調べることとする。
1.中国における「漢文」
最初に、そもそもの「漢文」の生まれ故郷である中国における定義を事典類を参照して見てみることにする。その定義には、広義、狭義の二種があるようである。簡潔かつ具体的な説明をほどこす『日本語学研究事典』の該当項目を以下に記す。
「漢文という語は、本来、中国古代の文章を指して用いるものである。……中国で、この語は、狭義に...